マイケルジャクソンをはじめ、著名なアーテイストたちの多くが「自分のステージに非日常を求めてファンがやってくる。だから妥協せず、高いプロ意識を持ち続けなければならない。」と言っている。スーパースターと呼ばれる人たちは、どのジャンルにおいても質の高いサプライズで夢を与えてくれる。逆に建築、特にその中でも「住宅」を作るという仕事は、まさに人の日常を作る仕事であるわけだが、なかなか奥深くおもしろい。短時間で強烈なパフォーマンスで人を酔わせるのではなく、長い時間飽きられず、愛され続けられることが大事で自分の歴史を詰め込む器のようなものだとおもいます。そのためにも美しい家をつくるべきです。アーチストが豊かな生活の「特効薬」とすれば、「住宅」は素敵な人生をあゆみつづけるための「漢方薬」だとおもいます。自分と共に年を重ねることで「愛着」が生まれます。どちらも提供する側はプロとしての創意、工夫が必要で、努力し続けなければなりません。ちなみに、今年自分が作った最初の作品が30年目を迎えます。これからは、新しい作品を作る喜びと、昔作った作品を検証する楽しみが味わえます。時間を見つけて,30年たった家を1軒ずつお邪魔してオーナーと語らいたいものです。思いもかけない話が聞けそうで、ワクワクします。これからの時間が本当の住宅の勉強なのかもしれません。お金には苦労続きですが、この仕事は気に入ってます。