我が家は今3人の親の介護をしています。私の母とは同居、女房の両親は、別々の病院に入院しています。ほとんど女房にまかせきりのわたしが偉そうなことはいえないのですが、介護の現実は、頭にきたり、悲しくなったり、笑ったり、泣いたり、あきれたり、疲れたり、大変です。老いていく親をみることはつらいことですが、時々見せるうれしそうな笑顔に癒されることもあります。女房の母親は入院して10年近くになりますが「家に帰りたい」と口癖のように言ってます。人間にとって「自分の家」こそがなによりの大切な居場所なのでしょう。家を作っているものとしては体の調子がいいときを見計らって短い時間でも「家」につれて帰ってやりたいとおもいます。そこにはたくさんの思い出が待っているのでしょうし、やり残してきたものがあるのでしょう。いい家を持つことは、大事なことです。そして何より感じることは、介護する側が、健康で、ストレスをためず、自分のペースで楽しむくらいの気持ちでいることです。抱え込んで深刻になった時期もありましたが、いい意味でいい加減な気持ちを持つことが大切なようにおもいます。怒りながら、愚痴りながら、情けなくなりながら、時々癒されながらせいかつすることが「介護」だとおもいます。やっぱり親には長生きしてほしいとおもいますし、親の老いをとうして、自分の老後を考えるいい時期だとおもっています。介護のしやすい家よりも、いついかなるときでも「帰りたい家」を作る建築家でありたいものです。
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