日本の住宅は戦前までは立派なものだったように思います。戦争に負け、早く、簡単に、大量に、合理的にということで工業化住宅というものが出現し、製品化されることで、家は建てるものから買うものへと移行していったわけです。そして、今は「建築士のプロデュースしたデザイナーズハウス」とか「お得感のある坪単価」を広告にのせることで、家を「売る」商業化住宅の時代だと感じます。古い考えかもしれませんが、私はいつまでもオーナーや職人さん達と膝をつきあわせて、鉛筆をなめながら「美しい家」を建てたいと思っています。私の力不足で適正な利益を上げる事はできていませんが、オーナーとスタッフと一緒に造った一邸、一邸はかけがえのない財産になっています。
2007 N邸