デザインはデザイナーのものではありません。デザインは長く大事に楽しく住むためのひとつのアイテムです。だからこそご入居者案内など多くの空間に身をおいてデザインを決める必要があります。建築屋の自己満足や、学術的評価は住宅においてはあまり意味がありません。オーナーとポジティブに顔を突き合わせて話し合いながら方向性を決めていき、パースや模型や案内で検証し、施工中の現場で確定していく作業が住宅デザインです。非効率で手間がかかる作業ですがそれが無性に楽しいと思えてこそできる仕事です。昨今、住宅を商品化して売る仕事が主流ですが、儲けしか残りません。オーナーの好みのデザインが作れないとなると家を所有する人はいなくなるでしょう。賃貸を住み替える文化になります。われわれの生命線はオーナーが喜ぶデザインであり、家は共有財産です。