恩人からの電話

私は、約20年前,30代前半の頃、初めて手がけさせていただいた輸入住宅が総レンガ張りで150坪のY邸でした。Yご夫婦はヨーロッパでの海外生活の経験もあり、妥協のない本物のエレガントな住宅を希望されており、まだ知識も経験もない私は緊張感いっぱいで、必死で設計し、打ち合わせをしました。一生かけても経験できないような作品を、若造だった自分に「若い感性に賭けよう」と託してくださったことに感謝し、その後のデザイン屋として、恥ずかしくない家を作れるようにしてくださったのもYご夫妻のおかげです。竣工式の時、引き渡せた喜びと、緊張感からの開放で、不覚にも号泣してしまいました。いい住宅をたくさん作ってきたつもりですが、取引先のアメリカの業者が「アメリカでもめったにない。すばらしい。」と感嘆の声を上げてくれたのはY邸でした。昨日そのY奥様からお電話をいただきました。「元気でがんばってますか。」と言う優しい言葉が身にしみました。20年と言う長い歳月のなかで、それぞれ訪れた試練に立ち向かい今、がんばっていることに凄く共感でき、また勇気の出る言葉を頂うれし涙をながしてしまいました。私の人生の節目に必ず声をかけてくださるY様に感謝します。人にしても、物にしても「本当の本物」が少しわかりかけてきた今からが、自分でも楽しみです。

Y邸邸ダイニング

Y邸玄関ホール

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