例外を除いて住まいは殆ど夜が主役のような気がします。「夜が素敵な家をつくろう」とイメージすると、いろんな概念が変わります。太陽を追いかけることでむやみに大きな窓をつけられたり、あちこちに窓をつけて建物の表情を崩したりしなくなります。窓は入ってくる光も大切ですが出す灯りのバランスを考える方がもっと大切です。室内の灯りは暗めで良いと思います。天井からの灯りを最小限にしてブラケット照明やスタンドを主照明にすることをお勧めします。手塗りの壁のコテ跡に灯りがあたり優しい濃淡が浮き出てきます。木々は窓の近くに植えてライトアップすることで夜の庭が出来上がります。インテリアデザイナーの平田は「照明は素敵な影を作るためにつけるものだ」と言っています。
H邸 (北九州市)2000年