私のおばは離島の田舎で、お茶、布団、化粧品を売っている。お茶の行商から始めて今は立派な店をかまえている。お客はお年寄りが多く、食料品などをたくさん買ったふくろを手に立ち寄り、お茶や化粧クリームを買ってくれる。「おばあちゃん、荷物全部おいといて。重いから後で家までとどけてやるよ。」とおばが声をかけるとおばあちゃんは「わーたすかる。わるかねー。」という。、「おばあちゃんの家の方へ何件か届け物があるけん気にせんどって。ついでやから。」と答える。そうして夕方、車で何件か配達している。私が「たった500円か1000円程度の買い物で配達なんかしてるとガソリン代もかかるし、商売にならんやろ。」と言うと「都会と田舎は商売がちがう。こうやっておもいものや他の店で買ったものも配達してやると喜んでくれるし、また立ち寄ってくれる。そして自分の店の名前が入った車で配達していると歩いている人や、近所の人が今度こっちに来るときお茶一袋もってきてと、声をかけてもらえるとよ。」と説明してくれました。そして「人が少ない田舎は一人を大事にする商売をせんと儲けばかり考えとったら長続きせんとよ。」と教えてくれました。私が25,6歳の頃の出来事ですが、今でも大切にしていることばです。人に喜んでもらうことを、自分の喜びにして仕事をし、生活できるだけの利益をいただくことが「商売」だとおもいます。ちなみに、私の田舎は対馬です。
対馬浅茅湾