十五年前に建てていただいた筑紫野市のT様ご夫婦に声を掛けていただき、さっそくおじゃましました。つたの絡まった外壁は古くなっていますが味があり、なかから七匹のワンチャンの泣き声が聞こえてました。先生と奥様の温厚な笑顔に迎えられてなかにいれていただきました。定番のオイルステインの66木製ドアと19ミリのオークフローリング、そして蒔ストーブがかもし出す「アメリカ」がそこにはありました。黒ずんだ壁や天井もけっしてイヤではなく、腐食ぎみの木製デッキでさえいい雰囲気があります。「何ですかこれは・・・。いい味出してますね。」「今我々が作っている家にないものが何かわからないですが、ここにはありますね。」と口走ってました。「ワンチャンがすべるのでワックスもかけてないのよ。」とおっしゃってましたが、さすがムク材、いい感じです。人工的に作られたものが年月がたつと「ボロ」になり人を不快にするのに比べ自然素材で作られた家が年月と共に味わい深くなるかを目の当たりにした思いです。心して増築案を考えなければ、新しいところが軽く感じられるかもしれません。がんばります。話は変わりますが最近H女史が長くアメリカに住んでおられた方と家の話をする機会があったようです。人づてに聞いた話ですが「Hさんの感性と知識には感心しました。本当のアメリカンハウスを語れる人に初めて会いました。よく勉強されてます。」とその方がおっしゃってくださったようです。苦労続きですがこの仕事が好きで、家とは謙虚に向き合ってきたことが今を支えてくれているように感じてます。これからも「本物」にこだわりたいと思います。