吉村順三に魅せられて、住宅を作り続けて30年になります。ここ4年半平田と一からというよりマイナスからのスタートながら、生き生きと精一杯仕事をしています。「美しい家を作ろう。」を合言葉に、周りの環境を壊さず、いい町並みに寄与するデザインでオーナーに喜んでいただく家を作り続けたつもりです。誤解を恐れず言わしてもらうと、日本の場合、役所がいい家を作る邪魔をします。確認申請や完了検査など家を作ることに対して無駄な書類やお金だけを要求して、住宅デザインや街並みに対する、感性に乏しく、働く目線が低すぎます。わが町の住宅デザインに愛情どころか興味も示さず、接客意識のない、税金サラリーマン建築従事者が多いのが腹立たしくてなりません。我々の手伝いをすることこそが役人の務めだと思うのですが。日本もそろそろ、手に職を持つ建築設計屋と、クリエイティブで日々感性を磨き続けないと消えてしまう建築デザイン屋の間に一線を引くべきだと思います。勉強も仕事内容も、異質なものです。住宅メーカーの作る規格住宅や、建売はまずはぎりぎりのそろばん勘定で作られていることがファサードに表れています。住まいが文化であるために、経済屋の家造りに負けずいいものを作り続けようと思います。