フォーマルダイニング

昔、応接間として狭い部屋にでっかいソファーがキューキューに置かれ、ほとんどが使わない「ソファー置場」の部屋になっている家がありました。日本住宅の文化は「客間」を重要視してきたように思います。お座敷もその1つで日当りの良い一番いいところをお客さんのために確保しておき、自分達は四帖半や六帖の茶の間で生活する。それはそれで大家族で親族も多く人との交流がさかんに行われた証でもあり冠婚葬祭も自宅というよき時代だったわけです。現代の住宅においては、フォーマルダイニングをつくることをお勧めします。お客さんをもてなす食事だけでなく、会話にしろ、物を広げるにしろ、書き物をするにしろソファーによる応接より随分重宝します。エントランスのすぐ横にあり、キッチンからは近いけど見えないという位置が理想です。キッチンと一体になったファミリーダイニングとは異なる空間、用途のフォーマルダイニング。お勧めです。写真の絵画はチャーリーの力作です。

 

 

2008 S邸(福岡県粕屋郡)

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ものづくり

娘から誕生日プレゼントにもらったDVD「桑田佳祐(くわたけいすけ)の一人紅白歌合戦」を見ました。彼は私と同年代というせいもあり、子供のころからのなつかしい歌が時代とともに映し出され、なつかしく、たのしく見ることができました。天才桑田佳祐の音楽は創作することも表現することも「自分が楽しむ」ことが原点なのだと改めて感じました。ほとんどビジネスの匂いが感じられません。私と娘が車の中で一緒に聞ける唯一の歌手であることも彼の凄さなのだと思います。「ものづくり」というジャンルは無から出発するわけですからひらめきやカンが重要です。絵や音楽、映画、料理、小説等色んな分野を興味深く観察し、いろんな場所を訪れ、たくさんの人と話をすることを続けなければならないと考えます。ものづくりで人を満足させる事は並大抵のことではありません。しかし、今それにチャレンジし続けられている自分を幸せと感じます。ちなみに息子からのバースデープレゼントは建築家フランク・ロイド・ライトモデルのボールペンでした。

 

1994 H邸(大宰府市)

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自然との共存

この季節は西日を浴びることが気持ちよく、秋と違って夕暮れに淋しさを感じることなく楽しい気分になります。新緑の木々と夕日と食事をデッキで楽しんでください。(できれば海も見えれば最高ですが・・・)家で四季を感じられる暮らしができれば何よりも「豊か」です。シアトルやポートランドでは厳しい冬から少し暖かくなると、どの家もダイニングテーブルがデッキに出て待ちわびたかのように「外」の生活を楽しみます。自然と共存できている事がうらやましく思います。日本のすばらしい四季や自然が自分達の生活の中に根付いてなく商業ベースで流れていっていることを残念に思っています。リゾート地に行っても日本人はくつろぎ方が下手で観光やショッピングに大忙し。ホテルは寝に帰る場所です。欧米人はそのホテルのプールサイドやビーチでくつろぎ、リゾート地の自然環境を充分楽しんでいるように感じます。余談ですがあるリゾートホテルのオーナーが言っていた話の中に「楽しくて帰りたくない」というホテルはいずれ飽きられる。「さあ、充分にエネルギーを充電できた。早く帰って仕事したい。いい仕事ができそうだ」と思わせるホテルが真のリゾートホテルだそうです。納得です。私もそんな家を目指したいものです。

 

1999 T邸 (山口県山口市)

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輸入住宅Ⅱ

間寛平のアースマラソンが気になりネットで追っています。カリフォルニア州からアリゾナ州を経て今、ニューメキシコ州とコロラド州の境あたりを走っているようです。動画でアメリカの風景や建物になつかしさを覚えつつ、地球一周の夢にチャレンジしている彼がうらやましいと思います。考えてみると、輸入住宅を学ぶために私もシアトル、ポートランド、ソルトレイク、ミネアポリス、ロサンゼルス、サンディエゴ、ラスベガス、アトランタ、サウスカロライナ、ニューヨークとアメリカの北から南まで訪れ、カナダのバンクーバー、ビクトリアも行きました。気候、風土によって住宅のデザインも様々です。暑い南はカバードポーチで影をつくり平屋をベースに石を使った家が多く、北は木材をふんだんに使い軒を短くして日光を取り入れようとしています。東海岸はヨーロッパの影響が色濃く残りレンガの小住宅が数多く見られます。輸入住宅と一言で語れないほど多種多様の住まい方とデザインが溢れています。共通しているのは北も南も自分達の自然環境を愛し、大切にしていることです。そして、何より人から「豊かさ」が感じられます。それは、けっして経済的なものからくる豊かさではなく、家族や仲間たちとのポジティヴな日常生活から育まれているように思われます。その中心にいつも住まいがあり、重要な役割を果たしているのです。彼らの住まいを手本にしながら九州の自然や文化を大切にした家づくりを続けたいと考えています。

 

2008 M邸(飯塚市)

 

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2008 K邸(大牟田市)

 

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輸入住宅

輸入住宅をメインに仕事をしているわけですから、数多くアメリカに行く機会がありました。私にとっての輸入住宅とはマテリアルを輸入している感覚ではなく暮らし方に魅せられているわけです。彼らの住まいを大切に考えどこまでもプラス志向の楽しい生活を「輸入」することが原点で、それを掘り下げていくと窓による高気密・高断熱、自然素材、不変的なデザインが不可欠だと感じるようになりました。一言でいうと年月を重ねるほど味のでる住まいです。近年、旅行、留学、仕事でアメリカに行く人が多くなり「アメリカの考え方」に強いインパクトを受けて帰国しているようです。そのキーワードは「常に楽しむ」ことのような気がします。いくつになっても「人生を守る」ことより「人生を楽しみ続ける」ことに意義を感じ、そうすることで夢に到達すると信じているようです。だからこそ、夢を手に入れた人には心から拍手が送れるのでしょう。輸入住宅を通して人の役にたてれば私自身楽しい人生です。

 

1996 N邸 (福岡県田川市)

 

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ハーフラウンド

最近ハーフラウンドの窓をメインファサードに設けるデザインを提案しています。どうしても建物は直線的なデザインになりがちですがハーフラウンドの窓で建物の表情が柔らかくなり品のある外観になります。室内においても窓の高さによって開放感が増し面白い採光が入ってきます。しかし、何といってもハーフラウンドが異彩を放つのは照明によってアーチがくっきり浮かび上がる夜の表情です。暖かさと上品さが感じられ、いつまでも眺めていたくなります。

 

1998  N邸(福岡市)

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2006 I邸(宮崎市)

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手を動かす

私は今でも鉛筆でプランを考え、提案図も手描きです。パソコンが苦手ということもあるのですが、昔からの習慣でそのやり方でしか自分が納得するデザインができないし人に自信をもって提案できません。「鉛筆の先が何かを語りかける」自分だけの表現を大事にしたいと思っています。「デザインがうまくなりたかったらどれだけ手を動かすかだ」と教えられましたし、自分の手で図面を完成させていく過程でいろんな新しいアイデアが湧きあがることが嬉しくなります。私の右手は鉛筆ダコで硬く黒く変色しています。友人から時代遅れだと忠告されますがこの方法があっています。それから「デジカメ」もほとんど使いません。敷地調査やリモデルの現場調査には便利だとわかっているのですが一度手を動かして「図面化」する方が理解度が高くアイデアも湧きやすくなるのは不思議です。デジカメのシャッターを押すだけで安心していると肝心な事を調べてないことが多いのです。私が信頼するデザイン仲間もチャーリーをはじめエクステリアデザイナー、家具デザイナー、店舗デザイナー等、皆手書き勝負のおじさん達です。昭和を引きずっているのでしょうか?

 

2001 K邸(福岡市)リモデリング

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セカンドハウス

別荘の計画依頼をうけ、湯布院まで現場調査に行ってきました。由布岳が見える傾斜地でとてもいいところでした。自宅を建てていただいたお客様が又「別荘を計画して」と声をかけていただくケースが多く、大変ありがたいことです。今まで別荘の実績は10棟近くあります。いつも感じることですが別荘の打ち合わせは皆様プラス志向でポジティヴな感性になっていただきます。「どう楽しむか」を追求することは家づくりの原点です。オーナーにエネルギーを与えられるセカンドハウスを私も楽しみながら計画させてもらいます。

 

2006 S邸

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地下室

以前に比べて地下室の工法が進み、安価で止水性、防水性、断熱性が高い地下室が作れるようになりました。私共では5件の実績があります。オーディオルームやシアタールーム。また、ワインセラーとして異彩を放つ空間になっています。主に男性が好む空間として作ることが多いのですが、こんな時代ですから身を守る避難スペースとしても注目されています。いわゆるパニックルームというやつです。今からの住まいとして地下室は一考の価値があります。

 

2007 O邸(福岡市)

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ワインセラー
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キモン

家作りにおいて「キモン」こそがキモンになっているケースがよくあります。細かい事は控えますが、昔、まだ建築学が確立していない時代の指針にすぎません。しかしながらキモンの心得は「家を清浄に保ち手入れをして長持ちさせる」というもので、この気持ちの部分は非常に大切なことです。「水廻りはどの方角が悪い」「玄関はどこがいい」等ということだけで苦しむ必要はありません。丈夫で長持ちする構造、快適な空間、自分達が心から愛し続けることのできるデザインであれば生活のエネルギーは湧き上がるはずです。ちなみにアメリカにも「キモン」めいたものはあるらしいですが、それは「こうしたら幸せになれる」というプラス志向の言葉で綴られているそうです。キモンやキガクは心の問題です。

 

2008 K邸(久留米市)

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