ホワイエ

ホワイエとは、フランス語で、たまり場、広場と言う意味で、英語のロビーとおなじです。日本の住まいで言うと玄関ホールではなく、住文化的に言うと「土間」が1番近いと思います。少なくなりましたが、昔は土を固めた不思議な空間があり、台所とつずいていたようにおもいます。家の中でありながら、近所の人も遠慮なく足を踏み入れる場所でしっかりとしたコミュニティーがありました。外と家の中の境界線をあやふやにしてくれるおもしろい空間でした。今からのすまいにおいて、この土間文化をアレンジして新しい「ホワイエ」を提案すべきだと考えています。短時間の接客、会話が楽しめ、くつろげる自己主張のあるインテリア、もてなすことができる良質の空間、難しい課題ですが、今、新しいコミュニティーエリア「ホワイエ」が必要だとおもいます。

2001 N邸(Fukuoka)

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2008 K邸 (Ohmuta)

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入居者案内からいただく創作意欲

カナダ人のご主人と日本人の奥様から本格輸入住宅を計画しているので、いくつか作品を案内してほしいと依頼がありました。お聞きすると長い間カナダにすんであり、最近福岡に帰ってこられたそうです。私はすぐK邸を案内したいと思いました。デザインもパーツも空間も住まい方もランドスケープも、全て北米の住宅を強く意識した家だからです。忙しい中K様は快く承知していただき、案内が実現しました。半分は審査を受けているような気分の案内でした。私たちの、力不足のところも多々あったはずですが、K様ご夫婦の暖かい対応に助けられ、大変ほめていただきました。「今まで、いくつか見た輸入住宅はどれも違うと思ったけど、ここは本物です。」と満足していただきました。奥様の通訳によるとご主人も同じ感想で喜んでいただいたようです。k様の奥様が作っていただいたストロベリーシャーベットをいただきながら、楽しく談笑してK邸の案内、終了しました。帰りの車の中で奥様からいただいた言葉は、「期待どうりの出会いがありました。」「K様は満足されてますね。」と言う、私にとって最高のものでした。このような言葉とK様ご夫婦のご協力に感謝しながら「絶対喜んでいただく提案をしよう。」と、強い創作意欲がわきあがります。

K邸 2008年竣工

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恩師

私は高校時代、野球に明け暮れていました。そのときの監督は厳しい人で、よくバットでなぐられました。三振することをこわがっていたわたしに、言ってくれた言葉が今も頭にしっかりのこっています。「ボールをしっかり読んで、ボールをしっかり見て、自分のフォームでしっかりフルスイングしたものは、結果が凡打や三振でも、次の打席でホームランを打つ可能性がある。ボールに当てるだけのバッティングにはなにも期待がもてない。」この言葉で目覚めいい成績をのこせました。いまの仕事にも当てはまる言葉です。自分が自信をもてる構造や仕様にもとずいて、しっかりデザインするべきであって、小手先の受け狙いのデザインは自分を成長させないと思っています。ちなみに今の私からは想像できないでしょうが、ショートで1番バッターでした。信じてください。

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おにぎり

私は家で食事をすることは、1年で数回しかありません。夜が遅い仕事ですから仕方ないのですが、それでも時々、おにぎりがおいてあります。微妙にご飯があまったときに、お袋か、女房か、娘かが作ってくれてるのでしょう。冷たく、硬くなっているのですが、これがなかなか「うまい」のです。私のすきな具を入れて、私の好きな塩加減にしてくれてます。コンビニのおにぎりも、ノリがパリパリでご飯もしっとりして、いつまでもおいしいのですが、所詮多くの人に、買ってもらうためにつくられたものです。ビニールをはずすとき、やや寂しささえ感じます。自分のための、「手作りおにぎり」がおいしいのは作る人もたべる人も相手を思う気持ちがあるからでしょう。家作りもおなじです。工業化規格プレハブ住宅は多くの人に買ってもらうためソツなく作られていますが、「あたたかさ」が欠けているように感じます。Dアートの家作りは「あたたかみのあるオンリーワン」でありつづけたいと思っています。

大分 T邸

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半地下の隠れ家

4年前、傾斜地に鉄骨で人工地盤をつくりT邸を建てさせていただきました。Tさんは長年飲食業界で店主として活躍されており、幅広い人脈をお持ちの方です。気さくで明るくとても60歳にはみえません。奥さんは、ワイン好きの上品でかわいい方です。(時々、愛すべき天然の発言もあります。)このご夫婦は人生を前向きに楽しんでいます。まさに、プラス思考の生き方です。お二人の手料理をご馳走になりながらいろいろな人生のアドバイスをいただいています。今回,人工地盤の下に、和を感じられる隠れ家を作る話をいただき、さっそくスケッチができあがりました。  ここでワインを飲みながら仲間たちとの楽しい会話が弾む様子が目にうかびます。天井も低く難しい工事になるでしょうが、このご夫婦は笑いながら工事自体も楽しまれるはずです。いつも元気をいただいてますから、いい物を作って少しでも恩返しできるようがんばります。(心配はここで飲みすぎないかと言うことだけです。)

T邸 2006(Fukuoka)

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ペットと暮らす家

我が家にも犬が2匹います。私は以前から、犬アレルギーです。娘からせがまれ、外のデッキで飼うことを条件に8年前、チャーリー一家から子犬を譲り受けました。月日がたつごとに「主人」の座は私から犬に移っていき、今では、リビングのソファーは完全に占拠されています。もちろんかわいいのですが、尻尾を振ってのお帰りの儀式も、「上から目線」のように感じるのは私の僻み根性でしょうか。その後「ペットとともに暮らす家」をいくつか手がけさせていただくたびに、我が家流のリニューアル計画が頭に浮かびます。なんとか実現して「主人」の座をとりもどすつもりです。

H邸 2004年●ペットの浴槽がある家

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劇的手法?のマンションリニューアル

マンションの改装をしました。4LDKを2LDKに変更しスタイリッシュなリビング・ダイニングをつくりました。施主は矢野さんという女性で、うちの平田の同級生です。限られた予算で、劇的に空間が変化することをより実感してもらうため、完成まで一切現場をみせませんでした。「どきどきする。」と言いながら、今日初めて完成した部屋に足を踏み入れ「ひゃ~~」と言う喜びの雄たけびをあげていました。しめしめ、予定どうりのリアクションです。高価な材料は何も使っていませんが、システムウォールと疑石をメインに、床は塩ビ、壁はクロスというインテリアは、いままでのDアートにはなかったおもしろい手法だと思います。ダイニングセット、ストレスレスチェアー、ベット、ブラインド、観葉植物まで全て、矢野さんと打ち合わせすることなく、購入し設置しました。「ひどい。わがままな設計屋だ。」と思われてるか、「なんて親切に、何から何まで考えてくれる人なんだろう。」と思われてるか・・・・・。後者だと信じています。後日出窓のロールスクリーンには、チャーリーの絵が加わります。

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師弟制度

師弟制度が崩壊し続けています。世の中が豊かになるにつけ「学校」で学び一人前になる前に「肩書き」が与えられているような気がします。今、肩書きがないと暮らしにくい社会なのでしょう。そのため「何やってんの」「フリーターです」などという私には理解できない会話があちこちで聞こえます。肩書きのない人の肩書きまでネーミングしたり、何にでもコーディネーターをつけたり、スタイリストをつけたりして職業も徹底的に分業化され私がしらないカタカナの名前の肩書きが飛び回っている気がします。「師弟制度」という言葉に厳しいとか暴力的とか苦労とかマイナスイメージを受ける人が多いらしいのですが、私のまわりにいる大工にしろ職人にしろ師匠のもとで技術的にも人間的にも一生懸命に一人前になろうと努力している姿を見ると応援したくなります。私たちの目指す家は師弟制度を大切にしている人々で造られる家でありたいと思いますし、そこから家に対するポリシーは生まれるのであって、経済人からの事業計画とは異質なもののように思います。そんな本物の肩書きをもった仲間たちの集う会社でありたいものです。そして私の年齢になると一人前の肩書きを持てる人を育てることも大きな仕事のひとつだと考えています。私たちに比べると今の若者は知識も豊富だし頭もいいと思います。早く魅力的な人や仕事を見つけて本物の肩書きを手に入れてほしいものです。

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鉄人

福津で建築中のS邸の門扉を紹介します。金子さんという「鉄人」が手づくりで丹念にこしらえています。彼はこれまでもさまざまなお客様のリクエストに応え、門扉からポスト、アイアン手摺等数多くの作品が我々の作品の中で存在感を示しています。お客様にアイデアから製作過程、そして完成まで楽しんでいただける作品作りは見習うべきところが沢山あります。でも一番感じることは彼自身が楽しんでものを造っているということです。S様は大変喜んでくださっています。

 

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案内とメンテナンス

先日、新築を検討いただいているお客様を入居者のお宅に案内しました。Dアートの営業活動で一番大切にしている時間です。家そのものを見てもらうことは勿論ですが、入居者の方からの家づくりアドバイス、住まい心地、私共との関係を話していただくことが何よりアピールになります。家をつくっていく過程で数々のストーリーが生まれてくるわけですが、それを語っていただける入居者の方々が何よりの財産です。ご案内したお客様も家以上に入居者の方の感性に驚かれ「間違わない家づくり」というネガティブな考え方から「楽しめる家づくり」というポジティブな考え方に変わられます。入居者と常にふれあいながら独自の感性で住まいをつくりつづけるためには作品の点検とメンテナンスが重要です。それも維持するメンテナンスではなく住まいが進化するメンテナンスを目指したいものです。そして20年30年たった家をご案内し時を重ねるごとに味の出る住まいについて語っていただきたいと思っています。 アメリカの住宅は年月が経つほど価値があがります。輸入住宅を扱うものとして、その事実をしっかり日本で根付かせたいという最終目標があります。写真は’93年、アメリカ・ミネアポリスで70年ほどたった住宅地を撮影したものです。

 

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