若夫婦の家造り

先日、お引渡しをしたT様の息子さん夫婦が家を建ててくださることになりました。住宅に携わるものにとって、何よりありがたく、うれしい話です。社員はもとより、職人さんたちも大変喜んでいます。T様には私の力不足で長い間いろいろとご迷惑のかけっぱなしにもかかわらず、建て替えにつづいて、今回のお話をいただきました。恩返しも含めてがんばります。若夫婦は新婚さんでまだお子さんはいらっしゃいません。2人でがんばって自分たちの力で自分たちなりの家を持とうとする意欲にさわやかさとほほえましさを感じます。私も若い人の感性をいただきながら「若夫婦の家」という新ジャンルにチャレンジしてみようとおもっています。案内や打ち合わせで感じることは、相手をおもって譲り合うことや、2人で納得して決めていこうとしている「やさしさ」です。プロとしての意見も素直にきいていただき、家造りの先輩であるご両親にも意見を求められている姿は好感がもてます。誤解を招く発言かもしれませんが、「わがまま」と「あきらめ」と「損得」が家造りの大敵です。この若夫婦とは楽しい家造りができそうです。素敵な作品を作って若い人にもDアートの家を認知していただきたいものです。「Dアートで家を作り始めると子供ができる。」と言うジンクスがあります。6ヶ月の間に奥さんのおなかには赤ん坊がいるかもしれません。

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結婚式

7月半ば、親戚の結婚式に呼ばれ、忙しい中、日帰りで対馬に行ってきました。久しぶりに田舎の披露宴に出て感じたことは、みんなで考え、みんなが参加し、みんなが楽しんでいると言うことです。250人ほどの大宴会は見事にバラバラになることもなく、退屈することもなく5時間がすぎました。イベント化された商業主義の形重視ではなく、「人」を大切に、「人」を主役に、と言う気持ちが自然と出来上がっている田舎のパワーに心動かされるものがありました。新郎の友人の漁師がこの日のためにマグロを釣って、解体ショーをやり、寿司職人の友人がその場でトロずくしを握ります。和菓子家のおっちゃんが、対馬名物、カスマキを使ったウエデイングケーキを作ってました。新婦のウエデイングドレスは、友人達のてずくりです。両家から歌の凄くうまい人と凄く下手な人で楽しく競い合ってました。みんなが品物を少しずつ持ち寄り、くじ引きがあったり、手ずくりビデオが流れたり、とにかくハチャメチャなんですが、まとまって、たたえあって、いい時間を共有していました。私の子供の頃の懐かしい記憶が呼び起こされて、「いずれ対馬にかえってもいいか」と言う思いになりました。年を重ねてやっとふるさとの「人」の大切さにきずきました。何人か「またこいよ」と言いながら土産を持たせてくれ、最終便の空港まで見送りにきてくれました。過疎化が急速に進み、日々の生活は大変に違いないのですが、人が助け合う強い絆はどこにも負けてないと、誇らしく感じました。ちなみに新郎はスキンヘッドで私の親戚なのですが、しょっぱなの「新郎、新婦入場」の際,長髪のカツラをつけて、爆笑をとってました。

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アースマラソン

またまたアースマラソンの話題です。今ニューヨークからフランスにむけての大西洋上中間地点のようです。毎日、動画やブログで寛平チャンから元気をもらってます。地球半周すでに移動しているわけですから本当にすごいの一言です。この行動にロマンを感じるのは、わたしだけでしょうか。今の政治にしろ、会社にしろ、生活にしろ、人が「金」や「損得」にふりまわされているばかりで、自分の人生にロマンを感じてないようにおもいます。小さいことでもいいから、自分にとって価値あるものにチャレンジして達成していく過程にロマンを感じる生き方をしたいものです。私も現実はお金で苦労ばかりの毎日ですが、幸いなことに好きなことを「仕事」にできました。家を作っていく過程は仲間やオーナーとロマンを共有できる素敵な時間です。これからも「前向きに自分の家造りにとりくみたい。」「世界中のいろんな国の家をみてまわりたい。」と思わせてくれるアースマラソンです。

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避難勧告

先日の大雨の際、仕事をしてましたら、夜9時ごろ娘から電話がありました。「消防の人が、崖がくずれるかもしれないから下の病院に避難してくださいと言いにきたから今から家をでるよ。」と言うことでした。15年近く住んでいますが初めての避難勧告です。我が家の上には、老人ホームがあり、防府の災害を教訓に、早めの判断をしたのでしょう。私はこの大雨で入居者からのSOSがあるかもしれないとおもいつつ、11時ごろ避難場所に行ってみました。皆、眠れないようで、疲れ気味でした。家で休めることのありがたさを語っている家族の会話もきこえていました。娘は私がきたことをいいことに、アイスが食べたい、プリンが食べたい、コーラが飲みたい等好き放題言って、大雨の中コンビニまで買い物にいかされました。女房も含め、ペットを飼っている人はペットと共に車で寝ていたようです。これからも、大雨や台風等自然災害が襲ってくる季節です。充分気をつけて早めの対応をしてください。隣に住んでいるF君に缶チュウハイ、奥さんにフルーツジュースをかって差し入れすると、奥さんが一言「私も缶チュウハイがよかった。」遠慮のない、おもろい夫婦です。

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KOZAWA邸

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F邸

ケアンズ

ケアンズは世界遺産でもあるグレートバリアリーフの観光基地の小さい田舎町です。日本人がやたら多くて皆、船でグレートバリアリーフを目指します。私と息子は、「世界の車窓から」の冠映像だったキュランダ高原列車に乗ることにしました。熱帯雨林のジャングルを登る車窓の風景は圧巻です。特に数々の滝には目を奪われました。キュランダ村自体は完全に観光化されみやげ物屋ばかりです。帰りはスカイレールというゴンドラで7.5Kの空中散歩。上からみる大自然には言葉を失うほど感動しました。夜の食事は「カニーズ」というレストランに行きました。日本の蟹からとった名前らしく、どれだけ日本人観光客で潤っている町かということがよくわかります。でも、この店なかなかうまくて2夜連続いきました。おすすめです。「ケアンズに行ってグレートバリアリーフに行かなかった人はおまえらぐらいだ。」と散々いわれました。時間の関係でグレートバリアリーフと前回書いたポートダグラスの二者択一をせまられ、ポートダグラスを選んだわけです。ちなみにケアンズの住宅は暑い地方らしく、高床の平屋が主流でした。住宅デザインや住まいの文化については、あまり参考になるものはなかったというのが正直な感想です。

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ポートダグラス

三年前、息子とケアンズからレンタカーで訪れたポートダグラスは、オーストラリア、クイーンズランド州にあるすごく小さな町でした。欧米人のセレブの避暑地と言われお洒落でのんびりした街並みに日本人は見かけませんでした。のんびり長期滞在するセレブのために、洗練されたブテイック、ギャラリー、カフェ、レストランが狭いエリアに上手につくられ、短期の観光客を呼ぼうと言う意識がまったく感じられず、これほど町の目的がはっきりしていることにおどろきました。その中でアメリカ人御用達のシェラトンミラージュというホテルは、広大な敷地にゴルフ場を従え、広いロビーやレストランはまさにアメリカの巨大リゾートホテルなのですが、プールの大きさはケタはずれです。2ヘクタールの広さだそうです。衛星写真にも写るといわれ、クリントン前大統領も訪れると言うこのホテルはアメリカ人の好むリゾート感覚を満足させているようでした。一方ヨーロッパ人は小さいけど品のよいコンドミニュアムを好むそうです。私が目をひかれたのはマントラボートシーリゾートというお洒落なコンドミニアムです。街並みの中にたたずみ、静かに小さなプールサイドで読書をしている人がいました。「大人の時間」が流れていると言う感じです。もう一度訪れたいとおもっています。

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家のあるじ

以前は家を作る時一番予算をかける場所は床の間でした。四方柾や絞り丸太等の床柱、床框、一枚ものの床板等格式を重んじ、そこには家宝の掛け軸や壺が置かれ,生け花等とともに床明かりで大切に飾られていたようです。来客は床が見える方に座り、一番力がある家のあるじが床を背に客をもてなす。「後光が差す」と言う言葉の由来はここにあるという人もいます。今一番家の中で予算を賭けるところは、間違いなくキッチンでしょう。対面式の豪華で高級な面材やカウンター。食洗器、オーブンレンジ、IHも装備され、ピンスポット照明やペンダント照明でライトアップされた中には奥さんがいるはずです。そうです。「あるじ」です。いつからか家の「政権交代」は完了しているようです。そしてそれが幸せをもたらしているようです。

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火と電気

最近、オール電化が叫ばれています。それに伴い太陽光発電もエコ推奨と言うことで普及しつつあります。IHは掃除が楽ですし、エアコン、食洗器、レンジ、オーブン等がすごい勢いで家庭にはいってきましたから必然といえるでしょう。省エネ型と称して新しいTV,洗濯機、冷蔵庫、掃除機、パソコン等エコポイント政策で購入されていけば「電気製品ハウス」ができあがります。本当にこれが、節約やエコや環境にやさしのか疑問におもいます。人の暮らしに電気は不可欠なものではありますが、偏りすぎはよくないとおもいます。おばあちゃんは火加減でおいしい料理をつくり、うなぎは炭火で焼くものだとおもいます。暖炉も電気よりマキをもやしたいし、バーベキューも火が必要です。鍋もできれば火で食べたいものです。火と水と電気はバランスよく生活に密着させるべきです。「昭和の生活」にもどれとはいいませんがこれだけ家の中に電化製品が露出すると、無機質なインテリアしかあわなくなります。木や石など自然素材に囲まれる暮らしもエコですし、人や環境にやさしい家だとおもいます。いつの時代も主役は人でありたいものです。

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訪問者

先日、東京にいる息子がガールフレンドを連れて福岡に帰ってきました。福岡は始めて訪れるようで、ガイドブックで得た情報を参考に、「屋台に行きたい。」「フグを食べたい。」などと息子にリクエストしてました。彼女の福岡の印象は「いろんな顔をもってるまちですね。」ということでした。ドームやタワーのある百道、繁華街天神、夜の町中州、ビジネス街の博多駅周辺、キャナルシテイー、30分も走ればリゾート海ノ中道、志賀島、なにより有名な太宰府天満宮と、確かに狭いエリアのなかでおもしろく構成された町だと言うことを再確認しました。訪れてくれる人がいて、自分の町を案内できる時間を持てることはいろんな意味で幸せなことです。彼女は「Dアートの家が見たい。」、と嬉しいことを言ってくれるので、K様の家に連れていきました。いつものことながらK様ご夫婦に歓待していただき、親父としての威厳をたもつことができました。彼女の感想は「すごい」の連発です。形に残る仕事をしている幸せと素敵なご入居者を誇りにおもいます。夜、みんなで食事をしたのですが、娘が彼女に向かって「こんな兄のどこがいいんですか。信じられんちゃけど。」と博多弁でベタな質問をしていました。きっと彼女の博多の印象に娘がインプットされたはずです。素敵な訪問者でした。

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K邸

商売

私のおばは離島の田舎で、お茶、布団、化粧品を売っている。お茶の行商から始めて今は立派な店をかまえている。お客はお年寄りが多く、食料品などをたくさん買ったふくろを手に立ち寄り、お茶や化粧クリームを買ってくれる。「おばあちゃん、荷物全部おいといて。重いから後で家までとどけてやるよ。」とおばが声をかけるとおばあちゃんは「わーたすかる。わるかねー。」という。、「おばあちゃんの家の方へ何件か届け物があるけん気にせんどって。ついでやから。」と答える。そうして夕方、車で何件か配達している。私が「たった500円か1000円程度の買い物で配達なんかしてるとガソリン代もかかるし、商売にならんやろ。」と言うと「都会と田舎は商売がちがう。こうやっておもいものや他の店で買ったものも配達してやると喜んでくれるし、また立ち寄ってくれる。そして自分の店の名前が入った車で配達していると歩いている人や、近所の人が今度こっちに来るときお茶一袋もってきてと、声をかけてもらえるとよ。」と説明してくれました。そして「人が少ない田舎は一人を大事にする商売をせんと儲けばかり考えとったら長続きせんとよ。」と教えてくれました。私が25,6歳の頃の出来事ですが、今でも大切にしていることばです。人に喜んでもらうことを、自分の喜びにして仕事をし、生活できるだけの利益をいただくことが「商売」だとおもいます。ちなみに、私の田舎は対馬です。

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対馬浅茅湾