ストリートオブドリームス

アメリカでは州単位で、住宅の展示会が行われます。建築家、インテリアデザイナー、エクステリアデザイナーが、チームとして「夢の住宅」をつくりあげます。10棟~20棟の展示で1つのコミュニテイーができ、1ヶ月から2ヶ月展示した後、販売するようです。何回か見学に行きましたが、家そのもののすごさより、イベントとしての発想に驚きました。デザイナーを育てる文化的な環境が作られていることを大変うらやましくおもいました。18軒が共有してゴルフ場をもち、それぞれのテイグランドに素敵な家が建てられていたストリートオブドリームスが強く印象にのこっています。ビジネスとして、「売る」ための住宅展示場を造り、飽きられると3.4年で壊し、また目先を変えて「売る」ため家を建てるというような日本のやり方では本当の住文化は育たないし、いいデザイナーも生まれないような気がします。そういうメーカーにかぎって、「エコ」をうったえるセンスの悪い「のぼり」や「垂れ幕」を設置しているようです。いつか、心ある人達と小さくてもいいから風土を大事にした「九州ストリートオブドリームス」をやりたいという夢をもっています。

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模型

プランでほぼ納得されるとぜひ模型をつくることをおすすめします。模型は建物のプロポーションを確認するために大切なものであると同時に、屋根や外壁の色を決める際も参考になります。何より詳細打ち合わせの際、窓の位置、バランス、屋根勾配など立体として検証できることで、美しい家を作ろうという意識がオーナーの方にも実感として芽生えていただけます。どの打ち合わせのときも横に模型を置くことで家は「間取り」ではなく「空間」としてとらえていただけることがうれしいことです。多くの入居者が楽しかった家造りの思い出として模型を大切に飾っていただいているようです。あるオーナーが「模型ができたときと、家ができたときと二度も竣工の喜びをあじわえた。模型ができたときはすごくうれしかったけど実際家ができたときは、もうこれで打ち合わせも終わりかと思うとすこしさみしかった。」とおっしゃってました。ありがたいことばです。

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イチローの言葉

「年を重ね肉体に脂肪がついてもその気になればその脂肪は落とすことができるが、実績や年齢や貫禄と言ったものに価値観をみつけ、精神についた脂肪は、とるのがやっかいである。いつまでも子供の心を持つことが大切であり、それが、故仰木監督だった。」とイチローが語っていました。たくさんのイチロー語録のなかで、大好きな一言であり、奥深い言葉だとおもいます。私たちの仕事においても、「子供心」は大切なキーワードです。この言葉をきいたとき、精神脂肪のダイエットに取り組まなければ、魅力的な作品が作れなくなるのではないか・・・・と危機感さえもちました。「おまえは肉体のダイエットからはじめろ。」と思っている人もたくさんいると思いますが、そこはイチローほどストイックにはなれません。

2008    T邸 Ohita

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アースマラソン

間寛平のアースマラソンをネットで追いかけていることは以前かきました。シカゴを過ぎ、ニューヨークまで1000Kmを切ったあたりを走っているようです。すごいの一言です。今日の動画では、美しい住宅街が紹介されてました。自然を大切にし、自分のエリアは責任を持って手入れしながら生活しているのが、よくわかります。寛平ちゃんが、「このあたりは金持ちばっかりなんやろな。」と言っていましたが、決してそうではないとおもいます。私の渡米経験から言うと、一般的住宅街だと思います。自分の家は美しい町並みを作る責任を負っているという感覚をもっていることがなにより「豊かさ」をかんじさせてくれるのでしょう。映像にもでてましたが、リスなどの小動物とも共存できていることは、うらやましい限りです。自然を尊重し、美しい物を作り、それを維持し、その結果、人にコミュニテイーが生まれると思います。美しい家を建てましょう。そして寛平ちゃんがんばれ。

1993  アメリカ・ポートランド

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広さと視線

人は不思議な行動をします。自分を主張し、自分と緊張関係にある時間のときは、空間の中央に位置し、相手と対面します。しかしくつろぎや、ゆったり感を必要としている時は、壁際に陣どります。レストランや、喫茶店で、中央付近の席より、窓際や壁際の席から埋まるのもそのせいだと思います。そう考えると居心地のよさを求められる住まいにおいて、「広ければ広いだけいい。」と言う概念は、まちがっていることになります。テラスでの食事も、2方や3方壁に囲われて、上には、パーゴラなんかがあったほうが落ち着くはずです。30帖や40帖のリビングの真ん中にあるソファーではくつろげないと言うことです。しかし、視線は遠くまであったほうが心地いいようです。そう考えると、リビング、ダイニング、キッチン、階段など必要な広さを間仕切らないで、エリアとして構成し、「視線の広がり」を確保してやることが大事なようにおもいます。勾配天井の吹き抜けで、上にも視線を伸ばしてやれれば最高です。くつろぎの家造りにおいて、広さとは面積ではなく視線のひろがりであり、居心地のよさと面積はけっして比例しない。建築家は小さい面積で、広さを感じられる良質の空間をおいもとめています。

K邸 2008年竣工 (Kunisaki Ohita)

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ホワイエ

ホワイエとは、フランス語で、たまり場、広場と言う意味で、英語のロビーとおなじです。日本の住まいで言うと玄関ホールではなく、住文化的に言うと「土間」が1番近いと思います。少なくなりましたが、昔は土を固めた不思議な空間があり、台所とつずいていたようにおもいます。家の中でありながら、近所の人も遠慮なく足を踏み入れる場所でしっかりとしたコミュニティーがありました。外と家の中の境界線をあやふやにしてくれるおもしろい空間でした。今からのすまいにおいて、この土間文化をアレンジして新しい「ホワイエ」を提案すべきだと考えています。短時間の接客、会話が楽しめ、くつろげる自己主張のあるインテリア、もてなすことができる良質の空間、難しい課題ですが、今、新しいコミュニティーエリア「ホワイエ」が必要だとおもいます。

2001 N邸(Fukuoka)

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2008 K邸 (Ohmuta)

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入居者案内からいただく創作意欲

カナダ人のご主人と日本人の奥様から本格輸入住宅を計画しているので、いくつか作品を案内してほしいと依頼がありました。お聞きすると長い間カナダにすんであり、最近福岡に帰ってこられたそうです。私はすぐK邸を案内したいと思いました。デザインもパーツも空間も住まい方もランドスケープも、全て北米の住宅を強く意識した家だからです。忙しい中K様は快く承知していただき、案内が実現しました。半分は審査を受けているような気分の案内でした。私たちの、力不足のところも多々あったはずですが、K様ご夫婦の暖かい対応に助けられ、大変ほめていただきました。「今まで、いくつか見た輸入住宅はどれも違うと思ったけど、ここは本物です。」と満足していただきました。奥様の通訳によるとご主人も同じ感想で喜んでいただいたようです。k様の奥様が作っていただいたストロベリーシャーベットをいただきながら、楽しく談笑してK邸の案内、終了しました。帰りの車の中で奥様からいただいた言葉は、「期待どうりの出会いがありました。」「K様は満足されてますね。」と言う、私にとって最高のものでした。このような言葉とK様ご夫婦のご協力に感謝しながら「絶対喜んでいただく提案をしよう。」と、強い創作意欲がわきあがります。

K邸 2008年竣工

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恩師

私は高校時代、野球に明け暮れていました。そのときの監督は厳しい人で、よくバットでなぐられました。三振することをこわがっていたわたしに、言ってくれた言葉が今も頭にしっかりのこっています。「ボールをしっかり読んで、ボールをしっかり見て、自分のフォームでしっかりフルスイングしたものは、結果が凡打や三振でも、次の打席でホームランを打つ可能性がある。ボールに当てるだけのバッティングにはなにも期待がもてない。」この言葉で目覚めいい成績をのこせました。いまの仕事にも当てはまる言葉です。自分が自信をもてる構造や仕様にもとずいて、しっかりデザインするべきであって、小手先の受け狙いのデザインは自分を成長させないと思っています。ちなみに今の私からは想像できないでしょうが、ショートで1番バッターでした。信じてください。

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おにぎり

私は家で食事をすることは、1年で数回しかありません。夜が遅い仕事ですから仕方ないのですが、それでも時々、おにぎりがおいてあります。微妙にご飯があまったときに、お袋か、女房か、娘かが作ってくれてるのでしょう。冷たく、硬くなっているのですが、これがなかなか「うまい」のです。私のすきな具を入れて、私の好きな塩加減にしてくれてます。コンビニのおにぎりも、ノリがパリパリでご飯もしっとりして、いつまでもおいしいのですが、所詮多くの人に、買ってもらうためにつくられたものです。ビニールをはずすとき、やや寂しささえ感じます。自分のための、「手作りおにぎり」がおいしいのは作る人もたべる人も相手を思う気持ちがあるからでしょう。家作りもおなじです。工業化規格プレハブ住宅は多くの人に買ってもらうためソツなく作られていますが、「あたたかさ」が欠けているように感じます。Dアートの家作りは「あたたかみのあるオンリーワン」でありつづけたいと思っています。

大分 T邸

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半地下の隠れ家

4年前、傾斜地に鉄骨で人工地盤をつくりT邸を建てさせていただきました。Tさんは長年飲食業界で店主として活躍されており、幅広い人脈をお持ちの方です。気さくで明るくとても60歳にはみえません。奥さんは、ワイン好きの上品でかわいい方です。(時々、愛すべき天然の発言もあります。)このご夫婦は人生を前向きに楽しんでいます。まさに、プラス思考の生き方です。お二人の手料理をご馳走になりながらいろいろな人生のアドバイスをいただいています。今回,人工地盤の下に、和を感じられる隠れ家を作る話をいただき、さっそくスケッチができあがりました。  ここでワインを飲みながら仲間たちとの楽しい会話が弾む様子が目にうかびます。天井も低く難しい工事になるでしょうが、このご夫婦は笑いながら工事自体も楽しまれるはずです。いつも元気をいただいてますから、いい物を作って少しでも恩返しできるようがんばります。(心配はここで飲みすぎないかと言うことだけです。)

T邸 2006(Fukuoka)

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