火と電気

最近、オール電化が叫ばれています。それに伴い太陽光発電もエコ推奨と言うことで普及しつつあります。IHは掃除が楽ですし、エアコン、食洗器、レンジ、オーブン等がすごい勢いで家庭にはいってきましたから必然といえるでしょう。省エネ型と称して新しいTV,洗濯機、冷蔵庫、掃除機、パソコン等エコポイント政策で購入されていけば「電気製品ハウス」ができあがります。本当にこれが、節約やエコや環境にやさしのか疑問におもいます。人の暮らしに電気は不可欠なものではありますが、偏りすぎはよくないとおもいます。おばあちゃんは火加減でおいしい料理をつくり、うなぎは炭火で焼くものだとおもいます。暖炉も電気よりマキをもやしたいし、バーベキューも火が必要です。鍋もできれば火で食べたいものです。火と水と電気はバランスよく生活に密着させるべきです。「昭和の生活」にもどれとはいいませんがこれだけ家の中に電化製品が露出すると、無機質なインテリアしかあわなくなります。木や石など自然素材に囲まれる暮らしもエコですし、人や環境にやさしい家だとおもいます。いつの時代も主役は人でありたいものです。

福岡市 I邸

img_8712-edit1

訪問者

先日、東京にいる息子がガールフレンドを連れて福岡に帰ってきました。福岡は始めて訪れるようで、ガイドブックで得た情報を参考に、「屋台に行きたい。」「フグを食べたい。」などと息子にリクエストしてました。彼女の福岡の印象は「いろんな顔をもってるまちですね。」ということでした。ドームやタワーのある百道、繁華街天神、夜の町中州、ビジネス街の博多駅周辺、キャナルシテイー、30分も走ればリゾート海ノ中道、志賀島、なにより有名な太宰府天満宮と、確かに狭いエリアのなかでおもしろく構成された町だと言うことを再確認しました。訪れてくれる人がいて、自分の町を案内できる時間を持てることはいろんな意味で幸せなことです。彼女は「Dアートの家が見たい。」、と嬉しいことを言ってくれるので、K様の家に連れていきました。いつものことながらK様ご夫婦に歓待していただき、親父としての威厳をたもつことができました。彼女の感想は「すごい」の連発です。形に残る仕事をしている幸せと素敵なご入居者を誇りにおもいます。夜、みんなで食事をしたのですが、娘が彼女に向かって「こんな兄のどこがいいんですか。信じられんちゃけど。」と博多弁でベタな質問をしていました。きっと彼女の博多の印象に娘がインプットされたはずです。素敵な訪問者でした。

_mg_0130-edit1

K邸

商売

私のおばは離島の田舎で、お茶、布団、化粧品を売っている。お茶の行商から始めて今は立派な店をかまえている。お客はお年寄りが多く、食料品などをたくさん買ったふくろを手に立ち寄り、お茶や化粧クリームを買ってくれる。「おばあちゃん、荷物全部おいといて。重いから後で家までとどけてやるよ。」とおばが声をかけるとおばあちゃんは「わーたすかる。わるかねー。」という。、「おばあちゃんの家の方へ何件か届け物があるけん気にせんどって。ついでやから。」と答える。そうして夕方、車で何件か配達している。私が「たった500円か1000円程度の買い物で配達なんかしてるとガソリン代もかかるし、商売にならんやろ。」と言うと「都会と田舎は商売がちがう。こうやっておもいものや他の店で買ったものも配達してやると喜んでくれるし、また立ち寄ってくれる。そして自分の店の名前が入った車で配達していると歩いている人や、近所の人が今度こっちに来るときお茶一袋もってきてと、声をかけてもらえるとよ。」と説明してくれました。そして「人が少ない田舎は一人を大事にする商売をせんと儲けばかり考えとったら長続きせんとよ。」と教えてくれました。私が25,6歳の頃の出来事ですが、今でも大切にしていることばです。人に喜んでもらうことを、自分の喜びにして仕事をし、生活できるだけの利益をいただくことが「商売」だとおもいます。ちなみに、私の田舎は対馬です。

nature-01_small

対馬浅茅湾

ストリートオブドリームス

アメリカでは州単位で、住宅の展示会が行われます。建築家、インテリアデザイナー、エクステリアデザイナーが、チームとして「夢の住宅」をつくりあげます。10棟~20棟の展示で1つのコミュニテイーができ、1ヶ月から2ヶ月展示した後、販売するようです。何回か見学に行きましたが、家そのもののすごさより、イベントとしての発想に驚きました。デザイナーを育てる文化的な環境が作られていることを大変うらやましくおもいました。18軒が共有してゴルフ場をもち、それぞれのテイグランドに素敵な家が建てられていたストリートオブドリームスが強く印象にのこっています。ビジネスとして、「売る」ための住宅展示場を造り、飽きられると3.4年で壊し、また目先を変えて「売る」ため家を建てるというような日本のやり方では本当の住文化は育たないし、いいデザイナーも生まれないような気がします。そういうメーカーにかぎって、「エコ」をうったえるセンスの悪い「のぼり」や「垂れ幕」を設置しているようです。いつか、心ある人達と小さくてもいいから風土を大事にした「九州ストリートオブドリームス」をやりたいという夢をもっています。

111scan0005_001

111scan0005_002

111scan0005_0013

模型

プランでほぼ納得されるとぜひ模型をつくることをおすすめします。模型は建物のプロポーションを確認するために大切なものであると同時に、屋根や外壁の色を決める際も参考になります。何より詳細打ち合わせの際、窓の位置、バランス、屋根勾配など立体として検証できることで、美しい家を作ろうという意識がオーナーの方にも実感として芽生えていただけます。どの打ち合わせのときも横に模型を置くことで家は「間取り」ではなく「空間」としてとらえていただけることがうれしいことです。多くの入居者が楽しかった家造りの思い出として模型を大切に飾っていただいているようです。あるオーナーが「模型ができたときと、家ができたときと二度も竣工の喜びをあじわえた。模型ができたときはすごくうれしかったけど実際家ができたときは、もうこれで打ち合わせも終わりかと思うとすこしさみしかった。」とおっしゃってました。ありがたいことばです。

models

イチローの言葉

「年を重ね肉体に脂肪がついてもその気になればその脂肪は落とすことができるが、実績や年齢や貫禄と言ったものに価値観をみつけ、精神についた脂肪は、とるのがやっかいである。いつまでも子供の心を持つことが大切であり、それが、故仰木監督だった。」とイチローが語っていました。たくさんのイチロー語録のなかで、大好きな一言であり、奥深い言葉だとおもいます。私たちの仕事においても、「子供心」は大切なキーワードです。この言葉をきいたとき、精神脂肪のダイエットに取り組まなければ、魅力的な作品が作れなくなるのではないか・・・・と危機感さえもちました。「おまえは肉体のダイエットからはじめろ。」と思っている人もたくさんいると思いますが、そこはイチローほどストイックにはなれません。

2008    T邸 Ohita

_mg_0459

アースマラソン

間寛平のアースマラソンをネットで追いかけていることは以前かきました。シカゴを過ぎ、ニューヨークまで1000Kmを切ったあたりを走っているようです。すごいの一言です。今日の動画では、美しい住宅街が紹介されてました。自然を大切にし、自分のエリアは責任を持って手入れしながら生活しているのが、よくわかります。寛平ちゃんが、「このあたりは金持ちばっかりなんやろな。」と言っていましたが、決してそうではないとおもいます。私の渡米経験から言うと、一般的住宅街だと思います。自分の家は美しい町並みを作る責任を負っているという感覚をもっていることがなにより「豊かさ」をかんじさせてくれるのでしょう。映像にもでてましたが、リスなどの小動物とも共存できていることは、うらやましい限りです。自然を尊重し、美しい物を作り、それを維持し、その結果、人にコミュニテイーが生まれると思います。美しい家を建てましょう。そして寛平ちゃんがんばれ。

1993  アメリカ・ポートランド

portland011

portland02

広さと視線

人は不思議な行動をします。自分を主張し、自分と緊張関係にある時間のときは、空間の中央に位置し、相手と対面します。しかしくつろぎや、ゆったり感を必要としている時は、壁際に陣どります。レストランや、喫茶店で、中央付近の席より、窓際や壁際の席から埋まるのもそのせいだと思います。そう考えると居心地のよさを求められる住まいにおいて、「広ければ広いだけいい。」と言う概念は、まちがっていることになります。テラスでの食事も、2方や3方壁に囲われて、上には、パーゴラなんかがあったほうが落ち着くはずです。30帖や40帖のリビングの真ん中にあるソファーではくつろげないと言うことです。しかし、視線は遠くまであったほうが心地いいようです。そう考えると、リビング、ダイニング、キッチン、階段など必要な広さを間仕切らないで、エリアとして構成し、「視線の広がり」を確保してやることが大事なようにおもいます。勾配天井の吹き抜けで、上にも視線を伸ばしてやれれば最高です。くつろぎの家造りにおいて、広さとは面積ではなく視線のひろがりであり、居心地のよさと面積はけっして比例しない。建築家は小さい面積で、広さを感じられる良質の空間をおいもとめています。

K邸 2008年竣工 (Kunisaki Ohita)

kngmt_living

ホワイエ

ホワイエとは、フランス語で、たまり場、広場と言う意味で、英語のロビーとおなじです。日本の住まいで言うと玄関ホールではなく、住文化的に言うと「土間」が1番近いと思います。少なくなりましたが、昔は土を固めた不思議な空間があり、台所とつずいていたようにおもいます。家の中でありながら、近所の人も遠慮なく足を踏み入れる場所でしっかりとしたコミュニティーがありました。外と家の中の境界線をあやふやにしてくれるおもしろい空間でした。今からのすまいにおいて、この土間文化をアレンジして新しい「ホワイエ」を提案すべきだと考えています。短時間の接客、会話が楽しめ、くつろげる自己主張のあるインテリア、もてなすことができる良質の空間、難しい課題ですが、今、新しいコミュニティーエリア「ホワイエ」が必要だとおもいます。

2001 N邸(Fukuoka)

nishi_hall

2008 K邸 (Ohmuta)

kytm_hall

入居者案内からいただく創作意欲

カナダ人のご主人と日本人の奥様から本格輸入住宅を計画しているので、いくつか作品を案内してほしいと依頼がありました。お聞きすると長い間カナダにすんであり、最近福岡に帰ってこられたそうです。私はすぐK邸を案内したいと思いました。デザインもパーツも空間も住まい方もランドスケープも、全て北米の住宅を強く意識した家だからです。忙しい中K様は快く承知していただき、案内が実現しました。半分は審査を受けているような気分の案内でした。私たちの、力不足のところも多々あったはずですが、K様ご夫婦の暖かい対応に助けられ、大変ほめていただきました。「今まで、いくつか見た輸入住宅はどれも違うと思ったけど、ここは本物です。」と満足していただきました。奥様の通訳によるとご主人も同じ感想で喜んでいただいたようです。k様の奥様が作っていただいたストロベリーシャーベットをいただきながら、楽しく談笑してK邸の案内、終了しました。帰りの車の中で奥様からいただいた言葉は、「期待どうりの出会いがありました。」「K様は満足されてますね。」と言う、私にとって最高のものでした。このような言葉とK様ご夫婦のご協力に感謝しながら「絶対喜んでいただく提案をしよう。」と、強い創作意欲がわきあがります。

K邸 2008年竣工

_mg_0132-edit

img_8497