十五年前に建てていただいた筑紫野市のT様ご夫婦に声を掛けていただき、さっそくおじゃましました。つたの絡まった外壁は古くなっていますが味があり、なかから七匹のワンチャンの泣き声が聞こえてました。先生と奥様の温厚な笑顔に迎えられてなかにいれていただきました。定番のオイルステインの66木製ドアと19ミリのオークフローリング、そして蒔ストーブがかもし出す「アメリカ」がそこにはありました。黒ずんだ壁や天井もけっしてイヤではなく、腐食ぎみの木製デッキでさえいい雰囲気があります。「何ですかこれは・・・。いい味出してますね。」「今我々が作っている家にないものが何かわからないですが、ここにはありますね。」と口走ってました。「ワンチャンがすべるのでワックスもかけてないのよ。」とおっしゃってましたが、さすがムク材、いい感じです。人工的に作られたものが年月がたつと「ボロ」になり人を不快にするのに比べ自然素材で作られた家が年月と共に味わい深くなるかを目の当たりにした思いです。心して増築案を考えなければ、新しいところが軽く感じられるかもしれません。がんばります。話は変わりますが最近H女史が長くアメリカに住んでおられた方と家の話をする機会があったようです。人づてに聞いた話ですが「Hさんの感性と知識には感心しました。本当のアメリカンハウスを語れる人に初めて会いました。よく勉強されてます。」とその方がおっしゃってくださったようです。苦労続きですがこの仕事が好きで、家とは謙虚に向き合ってきたことが今を支えてくれているように感じてます。これからも「本物」にこだわりたいと思います。
夜景撮影
室見が丘のT邸の撮影がありました。室内2カット終了後、ライトアップした夜景をとることになりました。カメラマンと打ち合わせしながら窓の明かりや外灯、空のグラデーションを考え6時半ごろシャッターをきりました。この家のスタイルは数年前、サンデイエゴを訪れた際見たもので、カバードポーチのあるかわいいデザインにひかれ、これまで何度も手を動かし試行錯誤しながら成熟させてきたおもいいれのある住宅です。うれしいことに斬新でありながら暮らしやすいという評価をいただいてます。「周りの住宅とは一味違う表情の佇まいですね。」とカメラマンも高く評価してくれてました。プロがシャッターを切る前に私も含め、N女史、オーナーも自分のデジカメで撮影しました。仕事が形で残り、それが画像で保存されることは幸せです。撮影中昔一緒に家を作っていた仲間二人から同時刻に電話をもらいました。「撮影中」というと「見たいなー、今度あって飯でも食べよう。」「近いうち事務所にきます。」懐かしく、うれしい電話です。
人を思う気持ち
N女史が運動会のため休みの日曜日、H女史と朝出勤するとテーブルにおにぎりとおかずが書置きと一緒においてありました。「食べてください。今日休ませてもらいます。」運動会のために作ったお弁当をわざわざ朝早く届けてくれて、前夜打ち合わせのため使った食器もきれいに洗ってくれてました。わたしもH女史も「きもちがうれしい。」といいながらおにぎりと卵焼きにかぶりつきました。その後K大工と今予算オーバーのガレージハウスの打ち合わせをしました。彼もまた気持ちで物を考える人で、「予算も厳しいけどお客さんは、アメリカのガレージをほしがってあるはずやから、簡単にあきらめんで、喜んでもらうにはもう一工夫しましょう。」といいながら帰っていきました。いつもながらH女史は忙しく走り回っているなかで、現場への心遣いも忘れてません。現場の養生、掃除などアドバイスする中で、お客さんが見に来られてどうしてたら喜んでいただけるかを職人たちと話しあっています。大事なことです。また、今リニューアル中のオーナーとの打ち合わせの準備をしながら「このモールは喜んでもらえると思いませんか?」「この照明を気にいってあるので、エアーでとります。喜ばれるでしょう。」・・・・・・・・・どうしたら人に喜んでいただけるか、仲間が喜ぶか。これをいつもかんがえられる人でありたいものです。日常生活でも、料理,洗濯、掃除など誰かに喜んでもらうためと思う気持ちでやることは自分のエネルギーにもなります。私たちを喜ばせてくださるオーナーにたくさん出会って、力をもらってがんばって来れました。全ての行動に人を思う気持ちを織り込みたいものです。気持ちが通じないことがあってもあきらめずその精神を持ち続けたいと思ってます。えらそうなこと書いてすいません。でも食事に行っても、買い物をしても、その気持ちを持っている人に出会うことで、リピーターになるのではないでしょうか?
20年を過ぎた建物
築20年を過ぎたオーナーの家にいきました。わたしが輸入住宅を手がけ始めた最初の作品です。大事に住まわれているようで古さを感じず存在感があります。サイデイングのカラーリングも昔のままで妻壁のグリーンが印象的です。オーナーの20年住まわれた感想は「住みやすい家」だといわれてました。私どものモデルハウスも含めて築20年以上経過した作品があることはすごい財産だと思っています。そして20年たってもいまだに声を掛けてくださるオーナーがいることを誇りに思います。クリエイテイブな仕事ならではの喜びです。とくにあたらしくこの仕事をはじめたひとは何年たっても入居者の声を謙虚に聞く耳を持つことが自分の成長につなると思います。そして経験からくる先輩の奥深い言葉を素直に消化するための前向きな質問と心からのお礼を忘れないことがいい住宅屋になる秘訣です。プロジェクトXの名言集を中島みゆきの歌できくと涙が出ます。
もろもろの出来事
いつもながらN女史が作ってくれたダイエットを考えたおいしい昼食を食べた後、H女史と白石に走りました。N女史は途中変なものを食べないように、手作りのおやつと飲み物を用意してもたせてくれました。チーズと野菜をトッピングした上品なおやつは3時まで待てず事務所を出て30分後には完食でした。ここのところ多忙極まりないH女史は疲れのため助手席で船を漕ぎ出し、5分後にはリクライニングして、「大きな寝息」とも「小さないびき」ともいえる音を発しながら1時間半爆睡です。ちいさいおんぼろ車で乗り心地もよくないのに、よほど疲れているようです。現地では、職人さんやオーナーの奥様から「やせた」といわれるようになりました。やや快感です。K邸現場でブルーシートの上で水色になろうと努力しているいたいけなかえるを奥さんが見つけました。写真では色がよく出てませんがめずらしので掲載します。経費削減のため「三瀬越え」を繰り返していますが、やせたとはいえ、私とH女史二人をのせた車はフルアクセルでやっと峠を越えてくれます。何度通っても夜の三瀬は真っ暗で不気味です。夕食はおいしいそばを食べ一日が終わりました。我々の凄いところは、粗食も、おんぼろ車も、三瀬越えも、疲れも全て笑いに替え、プラス志向でがんばれるところだと自負してます。夕方「無事終わりましたか?気をつけて帰ってきてください。」というN女史からの電話も元気が出ます。しかしながらH女史、N女史、F大工たちが小声で「今日は敬老の日。社長に何かしなくていいですかね。」と話していたことを知ってます。笑って済ませます。
再受注
連休は打ち合わせのスケジュールで、H女史は走り回ってます。そのなかで、北九州Y邸、西区K邸2件リニューアルの仕事を正式にさせていただくことになりました。おふたりのオーナーとも以前仕事をさせていただいており、再受注ということになります。ほんとうにありがたいことです。いつもながら気持ちよく案内をさせていただいた入居者のかたにも感謝します。ほんとうにささえられてると思います。今から白石K邸に走ります。来月の引渡しに向け急ピッチで現場は動いてます。同時にご実家の外壁塗り替え、DK内装がえのできばえの確認もするつもりです。何年やっても、大きい小さいにかかわらず1物件ごと、勉強させられます。物を作るという仕事は形に残り、、ロマンがあります。そして、オーナーとの出会いが何よりの財産になります。責任をもてる仕事を仲間と共に続けたいと考えてます。
案内させていただいた築7年のH邸
イベント企画
さわやかな九月の連休がはじまります。われわれは打ち合わせ、ご案内などのスケジュールのなかで仕事を楽しみたいと思っています。それと、この秋、九月十月にイベントをやろうと考え、楽しく企画中です。白石の見学会、入居者のTV取材、撮影、マンションリニューアルの見学会など、中味を精査して面白いものにしたいと考えてます。いいアイデアをお待ちします。小さいものでも大きいものでも会社のことでも個人のことでも、人を楽しませることを一生懸命考えたり話し合ったりすることがとても大切だと思います。会社においてはその行為が「仕事」であり遂行するのは「作業」だと考えてます。H女史と「いままでがむしゃらに働いてきて、やっとイベントを考えられるようになったんだからこれから我々が得意とするところの楽しんでもらう仕事をして喜んでもらうことで自分たちも楽しもう。」と話してます。最近H女史も参加して愉快な同級生仲間(悲しみ組)たちと食事会のイベント、旅行のイベントなど計画してワイワイやっているのを見るとほほえましくなります。ただ内緒ですがおくられてくるメールは八女弁がそのまま忠実にひらがなとカタカナで書かれているため、仲間同士でしか意味不明の暗号みたいです。「あつて、ベロリなろが」・・・・・・・。暑くてグターとなるね。ということらしいです。「赤てろん、きなてろん」・・・・・・。赤とか黄色とかということらしいです。電話を横で聞いてるとこれに、得も知れぬ抑揚が不気味につきます。昔、ダニー馬場がラジオで八女の方言を紹介する「ヤメリカンピープル」というのをやってましたが、それ以上です。居酒屋で韓国語でも中国語でもない得体の知れない言葉を話して騒いでいる四人組みの女性がいたら彼女たちです。
カラーコーデイネート
白石の家が仕上げに入り、塗装、左官、電気、設備、内装など全員集合で現場打ち合わせを行いました。ここからが我々の腕の見せ所です。H女史もボーダーを含めたタイルの割付、照明のデザインと影のでき方、カーテンの色と塗装で使う色のバランス、スイッチプレートのデザインなど職人に説明しながら現場を走り回ってました。いまだに一番難しく、いつも悩むのがカラーコーデイネートです。マテリアルのデザイン選びより家の印象を決める大切な要素が「色」です。個性を大切に家を作ろうとすると既製品の部材選びではなく「好きな色にぬれる」という自由度が必要です。我々の家作りの原点です。そして色を操る感性がより必要になってきます。決めた色が同じでも「つや」のつけかたで印象が変わります。何度も現場で試し塗りをしながら慎重に決定しています。今回の家は、アメリカンハウスの王道であるブルーグレイの「5分ずや」で外壁のラップサイデイングを塗ります。内部はキャビネットのボーン色にあわせてオフホワイト系の「5分ずや」にしました。一番大切な玄関ドアはサイデイングが終わって色あわせします。ソフトにこだわり、感性を磨く努力を日々つづけることがいい家を作る条件です。そこを謙虚に勉強したり努力したりしないで仕事をしてると、ソフトにこだわるオーナーからは「御用聞き」の仕事しかさせてもらえなくなります。最近他社で相談中、検討中、施工中のお客様からデザインに関するご相談受けることが多くなりました。ありがたいことですし、お役に立てればなんなりとご相談ください。白石の家は10月に見学会を開催させていただくつもりです。ガレージハウスまでなんとかまとめ上げて、「アメリカの暮らし」を見ていただきたいと思っています。
古くなると味が出る?
ありがたいことに、土日は打ち合わせのアポイントで充実しています。施工中の打ち合わせ、新規提案、など力不足ながら全力でがんばってます。土日前は打ち合わせの用意や業者さんとの事前相談も必要です。好きな仕事とはいえ、なかなかハードです。私はもちろんのこと、H女史、N女史もわかくありません。上手に休養をとりながら、いい仕事をするため、体調管理が必要だと感じてます。行動のたびによいしょという声が出て「はあー」とか「あたたた」とか「肩と首マッサージしたい。」とか「腰が・・・・」とか「ヒアルロンサンが不足していくのがわかる」とか情けない言葉のオンパレードですが、ベテランならではのいい仕事をしてくれます。私はN女史の健康的な手料理でこの暑い夏がのりきれ、二ヶ月で5キロほど健康的にやせることができました。N女史の手料理と仕事帰りの「ふくの湯」、マッサージの「ザ、治療院」で体をいたわり、お客さんの喜ばれる言葉や顔で気持ちが元気になります。とくにH女史は長い期間がんばりすぎるくらいがんばってくれてます。今一番体調管理が必要なのですが、性格上ついがんばってしまうようです。本人曰く「がんばればお客様に元気をもらえますもん。」「女も男も若くて元気であればいいってもんじゃないですよ。家と一緒で年を重ねることで味のある人間になるんです。メンテナンスは必要ですけど。」H女史らしい切れ味鋭い男前の言葉です。みんなでいい仕事をするための体調管理を気がける年齢だということを自覚しようと思います。仲間同士が声を掛け合いながら元気で生き生きと仕事をしていきたいものです。
施工中の風景
O邸の現場はダイナミックなスケールのせいか、「でかい」「高い」という言葉が飛び交ってます。先日玄関のトップライトを見上げると凄く高くそこにセントラルエアコンのダクトがうねっている風景がありました。おもしろい構図です。小屋裏のドーマーに、構造タルキがながれ、ピンクの断熱材がしっかり施されているところも、施工中ならではです。そのほか、金物や配線,配管など完成時には隠れてしまうのですが、こだわって、美しい仕事をしてくれてます。白石のK邸のラップサイデイングの施工も一枚づつ寸法とりながら働き幅を考えながら、巧みの技を見せてくれています。現場にはおもしろい風景がたくさんあります。わたしたちのお客様はそれにいちはやく気づき、楽しまれるため、竣工ちかくなると、「完成はうれしいんだけど、さみしくもなるね。」といっていただけるんだと思います。