2016年6月26日の記事

便利なもの、手間のかかるもの

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この年になると、嫉妬も込めて、便利なものに反感を感じます。どんなにうまくても、「チーン」する食い物は邪道と感じるし、メールは手紙のような奥深さを感じることができません。勝手に転がる掃除機より、はたきや、ホウキ、ぞうきんがけに気持ちを感じます。パソコン相手にチケットの予約や問い合わせは腹立たしさを覚え、人との会話で判断したくなります。住宅も簡易大型プラモデルの道を、着々と歩んでいます。木の種類を考え、形を造作し、ペンキを塗り、美装をするわれわれの手間のかかかる家づくりは、時間と、金がかかるといわれる世の中です。ですが石油化学商品を接着剤でくっつけると終わりという便利さは、家から表情を奪い、寿命を奪い、人の感性すら退化させます。長い目で見れば随分高い買い物です。中身の大事ななにかを切り捨てないと便利にはなりません。もうこれ以上便利が必要なんでしょうか。パソコンに疎い私はいまだに鉛筆なめ舐め、手で図面やパースを書いています。そのへたな図面に、気持ちや、やる気や思いがオーナーに見えてると信じています。

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